久々にパソコンに触った…

5月11日。この日から、我が家の暮らしはガラリと姿を変えた。妻が仕事を始め、念願の、いや、ついに恐れていた(と言うと大袈裟だが)「夫婦共働き」の生活がスタートしたのだ。

かれこれ一週間が経つ。率直な感想を日記に叩きつけるなら、一言「えらく疲れる」に尽きる。とにかく生活のテンポが全く掴めない。これまでの日常のルーティンが、まるで音を立てて崩れ去ったかのような激変ぶりに、身体も心も追いついていないのが本音だ。

夜、一通りの家事を終えてリビングのソファに腰掛けると、隣で妻が「辛い。疲れる。本当に時間がない」と、消え入りそうな声で愚痴をこぼした。新生活への緊張感と、仕事と家事の両立という重圧が一気に押し寄せているのだろう。その気持ちは痛いほどよく分かる。

分かるのだが……。

心の中で、もう一人の自分がつい小さく呟いてしまう。「妻よ、それはこっちだってまったく同じなんだ」と。

思えば、俺の一日はまるで戦場だ。

明日もまた、朝が来れば暗いうちから起き出さなければならない。眠い目をこすりながら洗濯機を回し、その間に風呂掃除を済ませる。ゴミ箱を集めて回り、分別を細かくチェックして袋にまとめる。ここまでを息が切れるようなスピードでこなし、子供たちの心配をしながら、慌ただしく自宅を飛び出して出勤する。工場での仕事は体力を使うし、気が抜けない。

そして、へとへとになって仕事を終えて帰宅しても、そこからが「第二ラウンド」の始まりなのだ。

家に着くなり、元気いっぱいの子供たちが待っている。「パパ~、サッカーやろう!」「自転車乗るからついてきて!」と、容赦ないお誘いがかかる。疲れた身体を引き摺るようにして外へ出て、ボールを追いかけ、自転車の後ろを追走する。子供たちの笑顔は可愛いし、一緒に過ごせる時間は貴重だと頭では分かってきているつもりだが、体力的には完全に限界を超えている。

ひとしきり外で引き摺り回された後は、休む間もなく台所に立つ。夕飯の支度だ。

「今日は何を作ろうか」とYouTubeの料理動画を引っ張り出し、手際よく、かつスピーディーに作れるレシピを探してフライパンを握る。子供たちにお腹いっぱい食べさせ、片付けをして、お風呂に入れ、寝かしつける。

ふと時計を見ると、信じられないことにもう夜の12時を回ろうとしている。

「あれ? さっき帰ってきたばかりじゃなかったっけ……」

本当に、何か大きな激流にゴボゴボと飲み込まれているかのような毎日だ。一息つく暇も、自分の趣味に没頭する時間も、文字通り「1分」たりともない。ただ目の前にあるタスクを、流されるままに必死で処理しているだけで一日が終わっていく。

世間の共働き家庭の皆さんは、一体どうやってこの生活を上手く回しているのだろうか。SNSを見れば、綺麗に整えられた部屋で、作り置きの料理を並べ、笑顔で暮らしている家族がたくさんいるように見える。今の俺からすれば、そんなの神業の領域だ。どうやって時間を捻出しているのか、どうしてそんなに体力があるのか、本気で一人ずつに頭を下げて回って、その秘訣を教えてもらいたい気分になる。尊敬を通り越して、もはや畏怖の念すら覚える。

どうしたら、この激流のような生活を上手く回せるようになるのだろうか。それが、今の俺の、そして我が家の最大の悩みであり、直面している壁だ。

おそらく、これまでの「当たり前」を一度捨てる必要があるのかもしれない。

例えば、朝の家事をもっと夜にシフトできないか。ゴミの分別や洗濯のタイミングを見直す余地はあるはずだ。あるいは、食事の準備をもっと簡略化すること。毎日完璧な夕飯を作ろうとせず、たまには惣菜や冷凍食品に頼り切る日を作ってもいいのかもしれない。

それから、夫婦間での「役割分担」の再構築。お互いに「辛い」「疲れる」と言い合っているだけでは、状況は1ミリも好転しない。妻がどの部分で一番テンポを崩しているのか、俺がどこをフォローすれば全体の流れがスムーズになるのか。お互いのタスクを一度すべて机の上に書き出して、視覚的に整理してみるのも手かもしれない。

そして何より、「全部を完璧にやろうとしない」という諦め、いや、良い意味での「手抜き」を覚えることが、この激流を生き残るための最大の武器になるのではないかという気がしている。部屋が少し散らかっていようが、死ぬわけじゃない。子供たちと遊ぶ時間を少し短くさせてもらう日があっても、きっと理解してくれるはずだ。

まだ共働き生活は始まって一週間。テンポが掴めなくて当然だし、疲弊するのも当たり前だ。新しいシステムを導入したばかりなのだから、エラーが起きるのは織り込み済みでいなければならない。

今夜もノンアルコールビールを喉に流し込みながら、静まり返った家の中で一人、そんなことを考えている。

明日の朝もまた早い。まずは、明日の朝を無事に乗り切ること。そして週末にでも、妻と少し落ち着いて、これからの「我が家の暮らしのフォーメーション」について作戦会議を開こうと思う。

愚痴を言うエネルギーがあるうちに、仕組みを変える。

激流にただ飲み込まれるのではなく、なんとかその流れを乗りこなせるようになるまで、今は試行錯誤を繰り返すしかない。泥臭く、一歩ずつ、我が家なりの新しい「日常のテンポ」を作り上げていこう。

さあ、明日も早い。もう寝よう。