人生、何が起こるか分からない。いや、正確には「最悪のタイミングで、最高の幸運が舞い降りる」こともあるのだと、今日ほど痛感したことはない。
今、私の目の前では、先日まで沈黙を貫いていたパソコンが、何事もなかったかのように快調な駆動音を響かせている。ディスプレイに映し出される見慣れたデスクトップ画面が、これほど愛おしく感じられる日が来るとは思わなかった。
事の始まりは数日前のことだ。
私が現在愛用しているのは、Amazonで購入した2万円の整備済み品(リフレッシュ品)のノートパソコン。第8世代のCore i5を搭載しており、自分のようなちょっとした書類作成やネットサーフィン、趣味の調べ物をする程度の用途には、十分すぎるほどのスペックだ。2万円という破格の安さ。型落ちとはいえ、Core i5の機動力があれば、日常の相棒としてはこれ以上ない「掘り出し物」だと思っていた。
ところが、その相棒が突然、へそを曲げた。
いつものように電源ボタンを押した。しかし、指先に伝わる確かなクリック感とは裏腹に、画面は漆黒のまま。ファンが回る音もしなければ、通電を示すLEDランプすら点灯しない。ACアダプターを抜き差しし、放電を試し、考えうる限りの蘇生術を試みたが、パソコンは冷たい鉄の塊と化したまま、一向に目覚める気配を見せなかった。
「やってしまった……」
頭の中をよぎったのは、あの忌まわしき言葉だ。「安物買いの銭失い」。
まさに今の自分を嘲笑うかのようなフレーズが脳内でリフレインする。特に何か過酷な使い方をしたわけでも、水をこぼしたわけでもない。ただ普通に使っていただけなのに。購入してからまだ、たったの半年だ。
最悪なのはタイミングだった。
このパソコンの保証期間は「180日間」。購入履歴を確認する前から、嫌な予感はしていた。「きっと、もう過ぎている」。自分の運のなさを呪いながら、ダメ元でAmazonの注文履歴を遡り、カレンダーと照らし合わせてみた。
すると、信じられない数字が目に飛び込んできた。
購入日から今日で、ちょうど177日目。
保証期間終了まで、あとわずか3日。まさに「ぎりぎりのぎり」だった。
冷や汗を拭いながら、すぐさま出品者に連絡を取った。「突然電源が入らなくなりました。180日以内ですが、対応いただけますか?」と。数時間の沈黙の後、返ってきた返信は「保証期間内のため、無償にて修理・対応いたします」という、地獄で仏に会ったような言葉だった。
たかが2万円、と思われるかもしれない。
しかし、今の自分にとって、この2万円という出費を捻出するのは正直言ってかなりキツい。家計を預かる身として、予定外の数万円が飛んでいくダメージは、精神的にも物理的にも「九死に一生を得る」という表現が誇張ではないほどに重いのだ。もしこれが181日目の故障だったら……と想像するだけで、今でも背筋が凍る思いがする。
連絡した翌日にはパソコンを梱包して発送し、そこからの対応も驚くほど速かった。発送してからわずか2日で、私の元に「完治」したパソコンが帰還したのだ。原因は基板の接触不良か何かだったのだろうか、今は嘘のようにサクサクと動いている。
今回の件で、中古品や整備済み品のリスクを再認識したのは事実だ。しかし、同時に「保証期間」というセーフティネットの重要性、そしてギリギリのところで踏みとどまった自分の強運(悪運?)に驚いている。
とりあえず、これで良し。
再び相棒として戻ってきたこのCore i5。今度は180日と言わず、末長く元気に動いてくれることを切に願うばかりだ。今日からまた、このキーボードを叩ける日常を大切にしていこう。