我が社には、どうにも抗いようのない「負の磁場」がある。それも、四つのタイヤを持つ乗り物に対してだけ、異常に強力な。

思い返せば、これまでに起きた自動車トラブルは枚挙にいとまがない。ある時は、ガソリン満タンなら600キロは走れるはずのプリウスが、朝の通勤ラッシュの真っ只中、あろうことか国道の交差点でガス欠を起こして立ち往生した。その瞬間、物流の動脈は止まり、辺りは阿鼻叫喚の大渋滞に包まれた。

またある時は、工場内でフォークリフトが咆哮を上げた。何をどう間違えたのか、フルスロットルで建屋に激突し、工場の柱を物理的に変形させる大惨事となった。さらには、あろうことかフォークリフトで公道を走る一般車両を文字通り「吹き飛ばす」という、映画のワンシーンでも見ないような事故まで起きている。

我が社の「四輪トラブル史」は、もはや一つの伝説と化していた。そして今日、その系譜にまた一つ、あまりにもえげつない一ページが刻まれることとなった。

事の始まりは、今朝。仕事を共にスタートさせるはずの「先輩相棒」が、定刻の5分前になっても現れなかったことから始まる。

彼は非常に几帳面な男だ。いつもならとっくに顔を出している時間。それが定刻を過ぎても姿を見せない。時計の針が虚しく時を刻む中、嫌な予感が頭をよぎる。「また寝坊でもしたのだろうか」という軽い推測は、すぐに深刻な懸念へと変わった。

というのも、彼は昨年、急に重度の小麦アレルギーを発症している。にもかかわらず、「昔の味が忘れられない」と時折、小麦恋しさに少量のパンや麺を摂取してみるという、命がけの「チャレンジ」を繰り返していた男なのだ。そのたびに頭痛や発疹に悩まされる彼を見ていただけに、私は「もしや、そのチャレンジが最悪の形で裏目に出たのではないか」と気が気ではなかった。

焦燥感に駆られ、本人に何度も連絡を入れる。しかし、コール音だけが虚しく響き、彼が電話に出ることはなかった。現場は止まるわけにはいかない。私は仕方なく、別の先輩に助っ人を求めた。その先輩は「30分あれば着くよ」と頼もしい返事をくれたが、そこからが長かった。

一人で現場を回し、汗をかきながら1時間が経過しても、助っ人の先輩すら現れない。孤独な作業の中、「今日は一体、どんな星回りなんだ」と天を仰ぎたくなった。ようやく現れた助っ人の先輩は、開口一番、信じられない言葉を吐き捨てた。

「お前の相棒、会社のすぐ近くで路線バスに激突して、車が大破してたぜ!」

耳を疑った。状況を聞けば、雪もない、乾いたアスファルトの路面だったという。そこで彼はセンターラインを大きく割り、正面から路線バスに突っ込んだらしい。幸いにも、現場で警察と厳しい顔をして話し合っている姿が見えたそうで、体の方は無事だったようだ。しかし、その事故のせいで、ただでさえ混雑する通勤ラッシュの道は、完全に麻痺して大渋滞を引き起こしていた。

思えば、彼は前々から今の愛車に対して不満を漏らしていた。使い勝手がいいのか悪いのか分からない、謎に大きなスライドドアを備えたその車。彼はよく「次は違う車に……」と独り言のように呟いていたものだ。

しかし、まさかこんな、えげつない形でお別れの日が来るとは誰が想像しただろうか。バスへの激突。車は大破。そして通勤路の大混乱。呪われていると言わざるを得ない結末である。

怪我がなかったのは、不幸中の幸い、まさに奇跡と言っていい。だが、週明け、一体どんな顔をして彼を迎えればいいのだろうか。「命があってよかったですね」と言うべきか、あるいは大破した愛車の冥福を祈るべきか。それとも、あの巨大なスライドドアの思い出を語り合うべきか。

我が社の四輪トラブルの歴史に、また一つ、笑うに笑えない、けれど語り継がざるを得ない強烈なエピソードが加わってしまった。週明けの朝が、今から重苦しい。私はただ、これ以上の「五つ目のタイヤ」の呪いが現れないことを願うばかりだ。