今日、小学校で離任式が行われた。

4人の先生が学校を去るという。その中の一人、独特な世界観を持ったある先生との思い出が、ふと頭をよぎった。

彼との出会いは、娘の登校に付き添った時のことだ。

「初めまして。娘をよろしくお願いします」と挨拶した私に対し、返ってきたのは「はぁ」という素っ気ない一言。正直、第一印象は「風変わりな人だな」というものだった。

しかし、彼の真価はすぐに発揮される。

初授業で彼が黒板に描いたのは、チョーク一本で仕上げた壮大な『ちいかわ』。子供たちは大喜びだったという。後日、そのセンスに感動して「先生、すごいですね!」と声をかけると、「……ただ、子供が好きだと思ったんで」と、またしてもぶっきらぼうな返事。

口数は少ないが、センスはピカイチ。そんな男だった。

そんな彼との距離が縮まったのは、保護者参加のソフトボール大会だ。

失礼ながら、彼はかなりの重量級。それなのに、いざ試合が始まると驚くほどの快足を飛ばす。まさに「動ける逸材」だった。

事件はその後の打ち上げで起きた。

お酒も入り、私が「先生、あの巨体で打って走れるなんて素晴らしい!」と称賛した時のこと。饒舌になった彼は、突然こう言い放った。

「何が違うか教えますよ!……この『ふくらはぎ』です!さあ、触ってみてください!」

「え!?」「いや、マジか……」

困惑する私をよそに、彼は生足を出して待ち構えている。助けを求めて向かいのお父さんと目を合わせるが、すっと視線を逸らされた。

観念した私は、そのエラく太いふくらはぎを力いっぱい握らされた。

あの瞬間、酔いが一気に冷めた感覚は今でも忘れられない。

思い出せばキリがないほど、エピソードに事欠かない先生だった。

次は孤島への赴任らしい。持ち前のセンスと自慢のふくらはぎで、新天地でも元気に過ごしてほしいと願っている。