カレンダーは月曜日を指し、今日からまた「通常営業」という名の戦場が始まった。
私の仕事はいわゆる「ものづくり」の世界に属している。しかし、世間が華やかにイメージするそれとは対極にある、俗に言う「3K」の現場だ。
工場の中は、季節の情念をそのまま煮詰めたような環境だ。夏は逃げ場のない熱気が肺を焼き、冬は鉄の冷たさが骨の髄まで浸食する。防塵マスクなしではまともに呼吸すらままならない空気。一日中、重い鉄塊や資材を相手に格闘し、生傷が絶えることはない。夕暮れ時にようやく家路についても、玄関を開けた瞬間に家族から「臭い」と顔を顰められる。それが私の日常であり、普通の人が進んで選ぶことのない職種であることは、自分自身が一番よく分かっている。
大型連休が明け、甘やかしてしまった身体には、今日の現場はあまりに無慈悲だった。
昨年末までは当たり前にこなせていたはずの立ち仕事が、今日はどういうわけか恐ろしく辛い。まるで地球の重力が数倍に跳ね上がったかのように、一歩一歩が重く、足元からじわじわと疲労が這い上がってくる。作業の合間、ふとした瞬間に自分の手元を見ると、制御を失ったかのように小刻みに震えていた。
そんな満身創痍の状態で突きつけられたのが、経営陣のサディスティックなまでの采配だ。これから二週間にわたって続く、地獄の6日間勤務。休みが少ないことには慣れているつもりだったが、このタイミングでの連戦は、もはや嫌がらせの域に達しているのではないか。
「自分の身体と心は、本当に耐えられるのだろうか」
薄暗い工場の中で、機械の駆動音に紛れてそんな自問自答が漏れる。
重い足取りで鉄板の床を歩き、また次の作業に取り掛かる。砂と油にまみれ、身体の悲鳴を聞き流しながら、私は今日もこの場所で泥臭く生きている。誇りだとか、やりがいだとか、そんな綺麗な言葉では到底片付けられない。それでも、明日もまたこの場所に来なければならない現実がある。
震える足に力を込め、私は何とか初日を終えた。明日も、明後日も、鉄と埃の匂いが染み付いたこの服を着て、私は戦場へ向かうのだろう。この重力に抗いながら、いつか来る解放の日を、今はただ淡々と待つしかない。