おばあちゃんの旅立ちと、板橋の洗礼
突然の電話
その日は、突然の電話から始まった。
嫁さんのご両親とは半絶縁状態。そんな中でかかってきた連絡は、
おばあちゃんはここ5年ほど寝たきりで、痴呆も進んでいた。
嫁さんは「親とは顔を合わせたくないけど、
つまり、暗に「あんたが連れて行け」という指令である。
事務の人に「忌引が使えますよ」と言われたので、
大都会の荒波へ
葬儀は午前10時から。逆算して、田舎を朝5時に出発した。
ひたすら高速を南下するが、
さらに都内に入ると、そこはもうカオス。
交通量はとんでもないし、道は複雑。ETCが「
斎場に着いても、夫婦の連携は完璧だった。
「義理親との接触は最小限にする」という暗黙の了解のもと、
5年という月日は、憎しみすら風化させるのだろうか。
おばあさんは、本当に苦労の多い人生だったと聞く。
祭壇に並んだたくさんの花に包まれて旅立つ姿は、
蒙古タンメン中本の衝撃
予定より早く終わったので、「行きたいところに行こう」
候補に挙がったのは「蒙古タンメン中本」と「ディプティック」。
調べてみると、現在地から中本の「本店」が近いことが判明。
嫁さんは、
板橋の街を歩きながら店を目指す。
店に着くと、昼時を過ぎても行列が。
30分ほど待ち、ようやく店内に案内された。選んだのは、
期待に胸を膨らませて、いざ実食。
私の感想は「辛いけど、旨味がしっかりあって美味しいな」
しかし、隣の嫁さんがおかしい。
一口食べた瞬間、ピタリと動きが止まった。
よく見ると、小刻みに震えているではないか。
「どうした?」と聞くと、
「……思ってた辛さを超えてる……」と絶望的な顔。
いつも「家族で一番辛いのに強い」
汗だくになり、箸が止まる。
「完食するから待ってろ!」と強がるものの、
挙げ句の果てには「なんで他の人はお茶なのに、私は水なの!」
なんとか、汗と鼻息まみれで完食した彼女が、
「あたしはどうせ、カップラーメン止まりなんだよ!」
自らの限界を悟った彼女の叫びに、私は爆笑してしまった。
その直後、まるで傷ついた嫁さんを洗うかのように、
波乱万丈な一日だったけれど、おばあちゃんの見送りと、
忘れられない、濃い一日になった。
(ディプティックの話は、また後日。)