我が社の「奇人」常務について
我が社には、
巷では「化け物」「怪物」と畏怖を込めて(
誤解のないように言っておくが、
しかし、彼と同じ空間で仕事をすると、仏の顔も三度どころか、
歴代、彼の下で、
「あいつは、根本的に頭のネジが数本どころか、
今日もそんな彼の「伝説」を思い返し、
第一の事件:消えたレンチの長さ
先日、配管のメンテナンス作業をしていた時のことだ。
配管のバルブを回すためのレンチ。
普通の知性を持った人間なら、「おっと、当たってしまうな」
だが、TZ常務に「工夫」という概念は存在しない。
彼は、干渉する壁ではなく、レンチそのものに非があると判断した
彼はおもむろにガス切断機(酸素)を持ち出すと、
火花が散り、金属が焼き切れる臭いが立ち込める中、
「長かったっけに!邪魔だったから切っといたぞ!」
颯爽と立ち去る彼の背中を見送りながら、現場にいた一同は、
第二の事件:暴走するハルク
また別の日、取引先のトラックが積み込みを終え、
運悪くバッテリーが上がってしまったらしく、
通常であれば、ブースターケーブルを持ってきて他の車と繋ぐか、
しかし、我らがTZ常務の脳内回路は、
彼は何を血迷ったか、無言で2トントラックの後ろに回り込み、
「まさか」と思ったが、その「まさか」だった。
別に坂道で立ち往生しているわけでもない。
それなのに、彼はテレビ番組『SASUKE』
周囲が「危ない!」「やめろ!」と怒号を飛ばすのも、
結果、トラックは数メートル無駄に移動し、TZ常務は力尽きた。
しかし、ここからが彼の真骨頂である。
引きずりながら歩くその姿は、
悲劇的なのは、彼が「誰も頼んでいない、全く無意味な行為」
彼が空けた仕事の穴を埋めるのは、いつだって残された我々「
第三の事件:2,000円の「慈悲」
そして、最もたちの悪いエピソードがある。
ある猛暑の日、一人の社員が汗だくで作業をしていた。
その日は運悪く着替えの予備を忘れてしまい、
そこに、どこからともなくTZ常務が現れたのだ。
「おう、着替え忘れたんか!俺が持ってきてやるっけ、待ってろ!
珍しく、いや、初めてと言っていいかもしれない彼の「善意」に、
しばらくして彼が持ってきたのは、
「たまには良いところがあるんだな」と、
悪夢は翌朝に待っていた。
出勤するなり、TZ常務はその社員のデスクへ詰め寄り、
「昨日やったTシャツ代、2,000円払え!」
社員は耳を疑った。どう見ても量販店で3枚1,
結局、その社員は怒りを通り越した賢者タイムに突入し、
それ以来、社内には鉄の掟ができた。
「TZ常務の善意には、決して触れてはならない」
結びに代えて
悪い人ではない。本当に、悪気はないのだ。
ただ、彼の行動原理は「親切」や「効率」
それは天災に近い。
予測不能で、破壊的で、事後処理には莫大な労力がかかる。
彼の伝説はこれだけにとどまらない。
重機を使わずに素手で壁を壊そうとした話や、
全てを書き記そうと思えば、
明日は何が起きるのか。願わくば、私の目の届かないところで、
心身ともに疲れ果てたので、今日はもう眠ることにする。
あぁ、明日会社に行きたくない。