胸の奥に澱のように溜まった不快感を、今日はすべて吐き出しておこうと思う。

ターゲットは、我が社のTZ常務。

世間的には「悪い人ではない」「熱心な人だ」という評価もあるのかもしれない。だが、私にとっては明確に「大嫌い」な存在であり、これまでに被った迷惑と恨みは、もはや一冊の本が書けるほどに積み重なっている。

彼との「初遭遇」は、まだ私が今の会社に入る前、20代前半の若かりし頃に遡る。

ある日、前の仕事を終えて実家へ帰宅すると、自宅前の公道に異様な光景が広がっていた。そこは大型トラック同士が余裕ですれ違えるほどの広い道なのだが、そのど真ん中に、まるで殴り込みにでも来たかのような角度でスバルのフォレスターが「乗り捨て」られていたのだ。

何事かと思いながら実家の玄関に近づくと、扉を開ける前から、家の中から野太いデカい声が漏れ聞こえてくる。

これは尋常ではない

直感的にそう察した私は、廊下のある古い実家の構造を利用し、茶の間で父親の相手をしている「謎の侵入者」に気づかれないよう、忍び足で裏手から家に上がり込んだ。

台所で息を潜めていた母親に「これは一体何事ら?と小声で尋ねると、母は困惑した顔でこう言った。

あれがお父さんの会社のTZさん。仕事の技術的なことで、どうしても今すぐ聞きたいことがあったんだって……

あいつは、いつも突然やってくる。

相手の都合」という概念が、彼の脳内辞書には存在しないらしい。

別の日には、何の連絡もなく、ただの休日にカステラを一本携えて我が家に現れたこともある。はっきり言って、そこまで親密な付き合いをしているわけでもなければ、家を教えた覚えすらない。

思い立ったら即行動」といえば聞こえはいいが、それは自分勝手な衝動を抑えられないだけだ。人迷惑も甚だしい。

良かれと思って」という名の暴力

彼のタチが悪いのは、すべての迷惑行為が「良かれと思ってという自分勝手な善意に基づいている点だ。

彼は、誰かがポロリと漏らした愚痴を耳にすると、それをわざわざ「親切心」で本人に届けてくれる。しかも、ご丁寧に「誰が言っていたか」という名前付きでだ。

――さんが、君が怠けていると言っていたよ。気をつけなさい

これを本気でアドバイスだと思ってやっているのだから、救いようがない。そんな人間が上に君臨しているのだから、社内の人間関係が良くなるはずもなく、今やコミュニケーションは死に体、風通しは最悪だ。

さらに、彼の「効率」に対する感覚も狂っている。

一秒でも早く伝えたい」という熱意の表れなのかもしれないが、私は見てしまった。彼が客先に電話をかけながら、トイレで用を足している姿を。受話器の向こうの相手は、まさか自分が放尿の音と共に仕事の話をされているとは夢にも思わないだろう。

210円の殺意

そして、私が彼を生涯許さないと誓った決定的な事件。それはコロナ禍での出来事だった。

ちょうど感染症法上の分類が第5類に移行したばかりの頃だったと記憶している。

彼は自分が感染していることを自覚していながら、「除菌は完璧にしているから大丈夫だ!という謎の自信を振りかざし、夜な夜な会社に出入りし続けた。

電話で「出勤をやめてくれ!」と必死に訴える同僚たちの声も、彼の「良かれと思って(仕事に穴を開けない)という暴走に塗りつぶされた。

結果はどうだ。

社内で8人の感染者を出し、その家族まで含めれば総勢20人以上を巻き込む大惨事となった。大した仕事もないくせに、自分の承認欲求のためにウイルスをバラ撒いたのだ。

その被害は、我が家にも直撃した。

私だけでなく、妻と二人の子供にも感染した。

妻からは「あんたがそんなバカな会社に勤めているからでしょう!」となじられ、父親としてのモラルさえ疑われた。

時は夏休みの真っ最中。楽しみにしていた子供たちの友人とのバーベキューパーティーも、当然キャンセル。

40度を超える高熱にうなされながら、家族からは総スカンを喰らい、無視され続ける日々。あの孤独と、家族の期待を裏切った申し訳なさは、言葉では言い表せない。

そして自粛明け。

出勤した私に対し、TZ常務がヘラヘラしながら放った言葉がこれだ。

大変らったね!無理すんなね!

そう言って、彼は机の上に「210円」を置いていった。

……210円?

私の家族が失った夏休み、妻の信頼、子供の笑顔、そして40度の苦しみ。それらすべてが、自販機の飲み物代にも満たないような端金で精算できると思っているのか。

その瞬間、私の心の中で明確に「殺意」に似た何かが芽生えた。

今、こうして書き出しているだけでも、当時の怒りが再燃して気分が悪くなってきた。

これ以上書くと、今日という日が台無しになりそうだ。

今日の記録はここまでにしよう。

【今日の夕食】

気分転換に、蒙古タンメンの中本(カップ麺)をアレンジして食べる。

この辛さが、胸の中に溜まったドロドロした感情を少しでも焼き尽くしてくれればいいのだが。

【追記:TZ常務への恨み言リスト】

• 道路中央駐車事件: 公道を私物化する傲慢さ。

• カステラ強襲事件: プライベートへの無遠慮な侵入。

• 告げ口善意事件: 組織の調和を破壊する無自覚な悪意。

• 放尿電話事件: プロ意識の欠如と不潔さ。

• コロナ・テロ: 家族の健康と平和を奪った最大の罪。

• 210円の侮辱: 人の尊厳を小銭で踏みにじる無神経さ。

思い出すだけで、また血圧が上がる。

いつか彼が、自分のしでかした「良かれと思っての重みに押し潰される日が来ることを、切に願う。