嵐の前触れ:突然の「一斉清掃」
朝一番、上からの号令が響く。
「明日は来客がある。工場内を一斉清掃せよ!」
いつものことだ。見栄えだけを整え、
広い工場内、まずは目につく大きなゴミを拾い集めた。
そこで私は、普段は手にすることのない、社内共用の「
絶望的な「道具」の姿
掃除機の収納場所に向かうと、
そこに鎮座していたのは、
ホースの亀裂はガムテープで幾重にもぐるぐる巻きにされ、
「道具の不具合は、壊したやつが直すか、報告するのが筋だろう」
そんな当たり前の常識は、我が社には存在しない。
「道具の不具合は知らんぷり」
これが、この会社の暗黙のルールであり、名物なのだ。
案の定、コンセントを繋いでスイッチを入れても、
TH君との噛み合わない対話
埒が明かないので、日頃からこの掃除機を愛用(?)
「これ、いつもこんな感じなの? 何か吸わせるためのコツでもあるのか?」
私の問いに対し、TH君は視線を泳がせながら、力なく答えた。
「……いつも、こんなもんだ……」
耳を疑った。
「はあ? これじゃ何も吸えないだろ? 家の掃除機の方がよっぽどマシな仕事をするぞ。
「……う、うん……」
その覇気のない返答に、私の堪忍袋の緒が微かに音を立てた。
「もういい。こっちで上に話しておくから、
私は彼を追い返した。
どんでん返しの「被害者面」
その後、私は先輩や上司と「このゴミ同然の掃除機、
さっき追い出したはずのTH君が、よりによって「
そして、TH君は私の目の前で、
「すいません。最近この掃除機、吸いが悪くてどうしましょう? 困ってるんです」
……絶句した。
たった数分前、私に向かって「いつもこんなもんだ」
そのあまりの浅ましさと馬鹿馬鹿しさに、私は怒りを通り越して、
結局、何も変わらない日常
彼らの形ばかりの「話し合い」が終わるのを見計らい、
「それ、君たちの方で修理するなり買い替えるなり手配するなら、
すると、彼はまたしても信じられない言葉を吐いた。
「……いや、俺、これから違う仕事がある(できません)」
はあ? じゃあ、なぜあんな芝居を打って常務を連れてきたんだ?
結局、彼は「困っているアピール」
私はもう、怒る気力も失せた。
一言も返さず、掃除機を元の「完璧な収納場所」に、元の「
そして今、私の視線の先では、相変わらずあの壊れた掃除機が、
これが私の勤める会社だ。
壊れた道具、壊れた思考、そして壊れた誠実さ。
泥沼のような不毛な一日に、せめてもの彩りを。
今日も、我が家で静かに咲き誇る「河津桜」の写真を眺める。
外の世界がどれほど不条理で埃っぽくても、
明日は今日よりも少しだけ、この無関心の壁を高く、
本日の記録
• 事象: 工業用掃除機の全損レベルの不具合発覚、および若手社員の豹変。
• 教訓: 「いつもこんなもん」という言葉は、思考停止のサインである。
• 癒やし: 自宅の河津桜。ピンク色が目に染みる。