晴れのち、絶望と再生
3月2日。あの日、
それから二週間。脚に分厚いバンテージを幾重にも巻かれ、
この二週間、誰よりもcoに寄り添ったのは親父だった。
朝、車に乗り込むcoは、どこか弾むような足取りだった。
「今日でやっとバンテージが外れる」
「今日でやっと抜糸が終わる」
家族の誰もがそう信じて疑わなかった。
病院に到着し、いつものように処置室へ預ける。
やがて処置を終えて戻ってきたcoは、
そんなcoを安心させたくて、俺と親父は何度も声をかけた。
「すぐ帰れるから、いい子にしようね」
「今日はすぐ終わるからね。すぐだよ、co」
その言葉は、coを励ましているようでいて、
(おかしいな。ここで抜糸するんじゃなかったのか……?)
胸の奥に、小さな、けれど冷たい違和感が走った。
その直後、診察室に入ってきた先生の口から出たのは、
「再脱臼しています。残念ですが、
頭が真っ白になった。え……? 再手術? しかも、今日?
あまりに唐突な言葉に、心臓が跳ね上がる。さっきまで「
今日、またあの手術を繰り返すのか? 本人の身体への負担はどうなる?
迷いが頭をよぎったが、先生はプロの視点で淡々と、
「できることなら、筋肉が落ちきらないうちに。
その言葉に、ぐうの音も出なかった。最善の道が「今」
だが、その瞬間だった。
「すぐ帰れるから」「今日はすぐだよ」
coは、まるで言葉を理解しているかのようだった。
「行きたくない。おうちに帰るんじゃなかったの?」
そう訴えかけるようなcoの瞳。先生に手術を依頼した瞬間、
病院のスタッフに抱えられ、処置室へと連れて行かれるco。
必死の抵抗だった。今まで聞いたこともないような、「
co、ごめん。嘘をつくつもりじゃなかったんだ。
でも、結果として俺は、お前を裏切ってしまった。
処置室に消えていく間際、最後にこちらを見たあの悲しい顔。
――数時間後。
手術は先生やスタッフの方々の尽力により、無事に終了した。
麻酔から覚め、家に帰ってきたco。身体の痛みだけでなく、
「お疲れ様。よく頑張ったね」
労いの言葉をかけようと近寄った瞬間、
あんなに甘えん坊だったcoが、
その姿を見て、さらに申し訳なさが込み上げる。ごめん。本当に、
今日からまた、リハビリの日々が始まる。
一度は裏切られたと感じているかもしれないけれど、
お前の脚が元通りになり、また広い海辺を、
不器用な謝罪を繰り返しながら、今度こそ、
co、今日は本当に辛い思いをさせてしまったな。
ゆっくり休んでくれ。明日からは、嘘のない「頑張ろう」