日常

田舎者。東京へ行く。①

7月22日、嫁さんのおばあちゃんが星になられた。

うちの嫁さんと、嫁さんの両親とは半絶縁状態の為、突然の電話に驚いた。

星になった報告を聞いた時は、寝たきりが約5年程続いていて痴呆も進んでいたので、その時が来たのだなと我々夫婦思った。

うちの嫁さんは「親には頭にくるけど、おばあちゃんにはとても可愛がってもらったから最後のお別れをしたい。でも親と一緒に東京まで向かうのはごめんだ。」とのこと。

遠まわしに、ついてこい!ということである。

次の日、会社に有休の申請を1日分提出した。

有休を提出したところ、「この案件なら忌引休みが使えます。」と事務の人間がいってきた。

「それならシステム上、忌引休み何日取得できますか?」と質問すると、「………」何も言わず立ち去ってしまった。会社としては1日しかやらん。と言う事らしい。

まあそんな会社だからしかたない。

次の日、葬儀が10時からと言うことで田舎から朝5時発で出発。

高速道路をただただ南下していく。普段こんなに長時間車を運転することがないため辛い…

都内に入ったらあふれんばかりの車の量、高速なのか下道なのかわからない道。ETCが「有料道路に入りました。」「有料道路出口です。」の繰り返し。一体どこを走ってるのかサッパリわからない。ナビに指示されるままで走り続けるのみ…手に汗握り緊張しっぱなしだ。

街中を走れば道が細い上に、交通量もとんでもない。

そんな荒波にもまれたように走り続け…なんとか時間までに斎場に到着。

斎場に着くと、なるべく義理親と一緒にいる時間を少しでも減らすために、夫婦暗黙の了解で車の中で身支度を整える。

色んな部分に気を張って会場に入ったが、嫁も義理親も5年と言う年月はあまりに大きい時間なんだろう…揉めるいや、会話すら一言二言で何事もなく葬儀を終えた。

葬儀の話を広げるのは何か気が咎めるが、一言だけ感想を残しておくと「非常に苦労したおばあさん。たくさんの花に包まれて旅立つ姿…美しかったです。苦労、苦痛が少しでも報われたらと思う。お疲れさまでした。」と残しておく。

思った以上に帰路につくまで時間があったので、行きたいところをお互いに出し合った。

その結果、蒙古タンメン中本、ディプティックに行って帰路に就くことでまとまった。

自分たちの現在地から、Google mapで蒙古タンメン中本を調べると思ったより近くに本店があることが分かった。そうと分かれば板橋に発進である。

頻繁に、美味い美味いとセブンイレブンのカップラーメンの蒙古タンメンに、ハマっていた嫁さん。それならと本場の味を経験してもらいたいと、自分がおすすめした目的地である。

嫁さんも超が付くほど乗り気だった。

コインパーキングに車を止めて、板橋の街を見学しながら蒙古タンメン中本本店を目指す。

夫婦で日常ではあり得ないくらい、テンション高く歩いた。

店にたどり着くと、さすが有名店。昼をかわしたはずなのに並んでいる。

その並びの列の最後尾に並ぶと、その待ち時間も楽しくなってくる。

30分くらい待って、店内に案内された。

店内のポップを参考に、定番と言われる蒙古タンメン5辛の食券を2人で購入。

待ち遠しさも夫婦の会話は盛り上がる。

しばらく待つと、我々の「蒙古タンメン5辛」定番と言われるからさのラーメンが到着。

期待に胸を膨らませ、ラーメンに口をつける。

自分の感想としては、辛いのは辛い。しかしその中にうま味のある美味しいラーメン。という感じだ。

…しかし、うちの嫁さん…一口目を口にしたあとフリーズしている。

しばらく見ていると小刻みに震えだした。

「どうした?」と聞くと、「思っていた辛さを超えてる…」とのこと。

普段家族に、辛い物なら家族の中なら自分が一番強いと豪語している嫁…

箸がなかなか進まない。「完食するからまってろ!」と言うが、汗ばかりかいて進まない。

自分は完食してただ嫁を観察する。

焦っているのか、「なんで他の人はお茶なのに、自分は水なんだ!」と自分に言ってくる。

それはアプリ会員の人はもらえるらしいよ。と伝えるが…

テンパっている嫁には伝わらない。

その後しばらくたった後、とにかく鼻息荒く、汗まみれで嫁はなんとか完食した。

「ごちそうさまでした。」と言って店を出た直後、嫁が放った言葉が忘れられない。

「あたしはどうせカップラーメン止まりなんだよ!」と言い放った。

爆笑である。

そんな傷ついた嫁の心を洗うように、二階から下に降りていくと、ゲリラ豪雨で雷と大雨で大変なことになっていた。

ディプティックはまた後で書こうと思う。